改まって会おうと言われ、いろんなことを考えた。「やっぱり結婚できない」「結婚は先延ばしにしよう」みたいなネガティブなことばかりが頭を駆け巡った。
指定された時間に喫茶店に行き、先に来ていた彼女の顔を見ると、浮かない表情をしている。覚悟を決めて席に座り、彼女が口を開くのを待った。出てきた言葉は、「妊娠した」。
「???…」。子どもができない身体だと告白され、彼女のお母さんからも同じことを言われ、まさか聞くことがないと思っていた言葉だった。そうやって言われていたから、確かに付き合い始めた当初から何の装備もしてこなかったけど、奇跡が起こったのか、超絶に相性が良かったのか、俺が凄かったか…。
一瞬怯んだものの、直ぐに大きな喜びに変わり、「良かった〜(涙)!!」と言ったが、それでも彼女は浮かない表情。要は妊娠できないのではなく、妊娠する可能性が著しく低いということだったらしく、ただ妊娠したからといってこのまま胎児が成長して、無事に生まれてくる保証もないとのこと。
せっかく天から授かった小さな命なので、とにかく無事に生まれてくれるよう、大事に大事にしよう。二人で力を合わせて、小さな命を守っていこう。そうやって2人で誓った。