シングルパパ、Big Daddy、時々旅人

会社では部下や若手社員のBig Daddy、家では二人の子どもをワンオペで育てるシングルパパ。そして趣味は海外旅行。人生に福あり。

嫁さんのこと

嫁さんの病気のこと 13 あの時のこと

家に帰り、子どもたちに晩ご飯を食べさせている時に家の電話が鳴った。病院からで、「奥様が危篤状態です。早く来てください」と。電話が鳴った瞬間に事態は分かっていた。この数週間、最も恐れていたことだ。すぐさま車で子どもたちと病院に向かう。 病院に…

嫁さんの病気のこと 12 あの日のこと

嫁さんは介護用ベッド、僕と息子がその隣に敷いた布団で寝ていたところ、夜中に嫁さんが足が痛くて寝られないと言い始めた。息子が嫁さんのベッドに行き、一緒に寝ることにしたが、足の痛みはだんだんと強くなっているという。 明け方にどうしても痛くて我慢…

嫁さんの病気のこと 11 自宅での最後の3日間

体力は弱っても、口と気は強いまま。介護用ベッドには絶対に寝ないと、3分くらい掛けて階段を上り、これまでのように二階で寝ることに。この根性はさすが。 やっぱり嫁さんは、我が家の太陽。家の中がパッと明るくなり、子どもたちも猫たちも嬉しそう。久し…

嫁さんの病気のこと ⑩2回目の入院

今回の入院がいつまで続くのか、退院できるのかも分からない。そんな中で嫁さんは入院初日に隣のベッドのおばあさんと喧嘩をしたとのこと。一晩中「私は死ぬんだ」とうるさいので、喧嘩になったとのこと。そんな元気があれば、2人とも直ぐにはお迎えは来ない…

嫁さんの病気のこと ⑨救急車

1月3日も朝から箱根駅伝を見ると、前日から嫁さんが張り切っていた。当日の朝は一人で早く起き出し、洗濯をしている音がかすかに一階から聞こえる。僕はウトウトしながら、下で何か物音がした気がしたが、また寝てしまった。また起きたのは、箱根駅伝の復路…

嫁さんの病気のこと ⑧ラスト・クリスマス

嫁さんの余命宣告を受けてからは、週2日だけ会社出勤、残りの週3日は自宅勤務となった。部長という責任ある立場でありながら、寛大な対応をしてくれた会社には感謝しても感謝しきれない。 僕が会社に行っている日は、病院の紹介でヘルパーさんが来てくれるこ…

嫁さんの病気のこと ⑦入院

入院用の荷物を持って病院に戻って来ると、嫁さんは病室にいた。ロシア語みたいな意味不明の言葉も直り、普通に話ができるようになっている。「早く家に帰って、子どもたちと会いたいよ〜」 余命宣告は聞きたいか?聞きたくないか?そんな話しを随分前に夫婦…

嫁さんの病気のこと ⑥余命宣告

嫁さんが携帯の使い方が分からなくなることもなく、再び平和な日々を送っていた2015年11月某日。 夜中にふっと目を覚ますと、一緒にベッドで寝ていた嫁さんがいない。そして下から僕の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。一階に降りて行くと、風呂場の床に嫁さんが…

嫁さんの病気のこと ⑤ハイパーサーミア

再発が分かった時点で、病院の治療に加えて、医学的には効果が認められていない温熱療法「ハイパーサーミア」を受けに、東京都内の目黒の診療所まで通い始めた。 このハイパーサーミアとは、体を局地的に温めることで熱に弱いガン細胞を急激に死滅に向かわせ…

嫁さんの病気のこと ④脳転移

腫瘍マーカーの数値が改善し、抗ガン剤治療中でも普通に生活をしていたので、再発に対しての心配や恐怖はすっかり薄れていた。 ある日の夜のこと。会社から家に帰って、いつものように嫁さんと話している時に、「私が携帯の使い方が分からないからって、子ど…

嫁さんの病気のこと ③恐れていた再発

ガンの治療が終わり、前と同じ普通の生活に戻った。手術でリンパ節を除去したのでリンパ浮腫への注意は必要だけど、家族4人で楽しく過ごせること、そして嫁さんがいることに対して、改めて幸せを噛み締めた。 いつも通りの3ヶ月に一度の検診の際、検査に引っ…

嫁さんの病気のこと ②ガンとの闘い

紹介された中野医師は、本当に良い人だった。ただあまりに人が良すぎて、患者やその家族に寄り添うばかりに診察に相当時間が掛かる。前の診察が詰まっていると、診察の予約時間から1時間以上待たされることも度々。朝から晩まで患者の相手をしていて、ご飯を…

嫁さんの病気のこと ①ガン宣告

嫁さんは乳ガンと6年間闘い、天に召された。医療の限界もあったのかもしれないが、今も後悔しかない。 下の子が生まれ、待望のマイホームで幸せを噛み締めていた。嫁さんの希望で子どもたちは母乳で育てていたが、ある時、しこりがあることに嫁さんが気付く…

嫁さんと結婚した ⑩2人目の誕生

マイホームに引っ越したと思ったら、出産予定日の1ヶ月前。本格的に出産の準備に入った。 1人目は出産予定日から2週間も粘り、陣痛促進剤で出すことになったが、2人目は早く生まれてくる可能性があるとのことで、いつ陣痛が来ても車で病院に行けるように、禁…

嫁さんと結婚した ⑨マイホーム建築

妊娠、マイホーム、激務の日々は、予想以上に大変だった。平日は終電で帰ることが多く、可愛い娘の顔を見ることもままならず、週末は住宅メーカーと家の打ち合わせ三昧。でも、幸せと希望に溢れていた。 住宅メーカーの営業マンの熱意に惚れ込み、マイホーム…

嫁さんと結婚した ⑧2人目の妊娠

子どもが出来ないと言われていたのに、結婚前に妊娠するという予想外のサプライズがあったので、2人目もすぐに妊娠すると高を括っていた。1年が過ぎ、2年が過ぎ、3年目を迎え、そう簡単ではないことに、ようやく気付く。 嫁さんは「子どもは天からの授かりも…

嫁さんと結婚した ⑦父になる

付き合い始めてから4ヶ月で婚約、その2ヶ月後に妊娠、その翌月に入籍、その2ヶ月後に結婚式、その翌月にハネムーンとバタバタが続き、いよいよ出産を迎えることになった。 初めての出産で不安が大きいことから、出産予定日の1ヶ月前に嫁さんが四国の実家に帰…

嫁さんと結婚した ⑥バタバタの入籍

もともとは7月に結婚する計画だったけど、出産予定日が9月初旬なので、全てを前倒しをすることに。 まずは結婚式の日取り決め。安定期かつドレスを着るのでお腹があまり大きくない時期がよいとのことで、妊娠5ヶ月目の4月中旬に決定。となると、準備期間はあ…

嫁さんと結婚した ⑤まさかの妊娠

改まって会おうと言われ、いろんなことを考えた。「やっぱり結婚できない」「結婚は先延ばしにしよう」みたいなネガティブなことばかりが頭を駆け巡った。 指定された時間に喫茶店に行き、先に来ていた彼女の顔を見ると、浮かない表情をしている。覚悟を決め…

嫁さんと結婚した ④試練の挨拶

結婚を決めたとなると、まずすることは彼女の両親への挨拶。ということで、実家がある四国へ。 実家は田舎の古い農家で、床の間で待ち受けていたのは、心配そうなお母さんとジャージ姿のお父さん。と、お婆さんと兄ちゃんとその奥さんと子ども。そんな大家族…

嫁さんと結婚した ③あわやのプロポーズ

平日はほぼ毎日飲み歩いていた。その当時のお気に入りはほぼ外みたいな江戸橋の焼肉屋「かんてき屋」。常に大人数だったので二人きりではなかったけど、本当に楽しい飲み仲間たちだったな〜。 週末はどちらかのマンションを行き来。淀川大橋を挟んで同じくら…

嫁さんと結婚した ②テスト交際

2002年6月15日、交際スタート。 土曜日で会社は休み。最初のデートは映画「スパイダーマン」!のはずが、友だちとの買い物が長引いてるだかで、まさかの待ち合わせ時間の変更。そして映画は別の日に変更し、彼女の買い物に付き合うことに。交際初日から、何…

嫁さんと結婚した ①最悪の出会い

彼女との出会いは、結婚する4年前の25歳の時。向こうは24歳。転勤先の大阪だった。 その当時に勤めていた東京の会社が大阪に支店を出すというので、若気の至りで責任者として転勤を志願し、社長プレゼンを行ったところ、見事に大阪行きが決定。といっても、…

シングルパパになる

誰も好き好んでシングルパパになったわけじゃない。最愛の嫁さんを病気で亡くして、小学6年生と小学2年生の二人の子どもを持つシングルファザーになったのが、約2年前。 嫁さんが入院した時は子どもたちの面倒は見てきたし、それなりにイクメンをやってきた…